コラム

集客の考え方

値下げで集客が苦しくなる理由|価格を下げる前に見直すこと

値下げで集客が苦しくなる理由|価格を下げる前に見直すこと

集客に困ったとき、いちばん手っ取り早く見える対策が「価格を下げる」ことです。
安くすれば、お客様は来てくれるはず。そう考えるのは自然なことだと思います。

けれど私は支援の現場で、価格を下げたことでかえって苦しくなっていくお店を何度も見てきました。

今回は、値下げが集客の悪手になりやすい理由と、価格に手をつける前に検討したいことをお伝えします。

お客様は増えたのに、前より苦しくなったお店

以前ご支援に入ったある店舗は、集客が伸び悩んでいる状態でご相談をいただきました。
そのお店が最初に打った手が、値下げでした。主力商品の価格を、2割ほど下げたそうです。

たしかに来店数は一時的に増えました。
ところが数ヶ月たつと、店長の表情はむしろ暗くなっていました。「お客さんは増えたのに、なぜか前より苦しい」というのです。

月ごとの予算と実績の数字を一緒に見返してみると、来店数はたしかに増えていました。
けれど、粗利額は、ほとんど変わっていなかったのです。

「頑張って集客した結果が、これか……」
そうつぶやいたオーナーの一言は、今でも印象に残っています。

「安くすれば選ばれる」という発想の落とし穴

近くに競合店ができた。売上が落ちてきた。
そんなとき「値段を下げれば選ばれる」と考えるのは、ごく自然な発想です。

ただ、価格はいちばん手をつけやすい一方で、いちばん危ういレバーでもあります。
接客の質や商品の魅力、伝え方を変えないまま価格だけを下げると、お店に対する期待値そのものが下がってしまうことがあるのです。

価格で選んでくれたお客様は、価格でしかつなぎ止められません。

安さで来てくれたお客様は、もっと安いお店ができれば、そちらに移っていきます。
この仕組みに、多くの経営者が後になって気づきます。

実は私自身も、独立してすぐの頃は同じ発想をしていました。
見積もりで迷われると、つい価格を下げて受注しようとしてしまう。けれど価格で決めていただいた案件ほど関係を築くのが難しく、後から「もっと安いところがあれば」という話になりやすいことを、身をもって経験しました。

利益率は下がり、手間だけが増えていった

先ほどのお店で何が起きていたのか、順に見ていきます。
まず、単純に利益率が下がりました。

1件あたりの利益が減ったまま来店数だけが増えたので、同じ人数のスタッフで、より多くのお客様に対応しなければならなくなりました。
売上の総額はそれほど変わらないのに、こなす仕事の量は明らかに増えている。「値下げ前と同じ売上を、より多くの手間で稼いでいる」状態です。

店長もスタッフさんも、休憩時間すら十分にとれない日が続いていました。
「お客さんは増えたはずなのに苦しい」という感覚の正体は、この利益率と作業量のバランスの崩れです。

リピーターも接客の質も、少しずつ削られていた

さらに深刻だったのが、リピーター率の変化です。
安さに惹かれて来店したお客様の多くは、お店そのもののファンになったわけではありませんでした。
数ヶ月後には、リピーター率が以前より下がっていることが数字にも表れてきました。

加えて、作業量が増えたことで、接客に割ける時間と余裕も減っていきました。
以前は一人ひとりに声をかけていた接客が、忙しさに追われて事務的なものに変わっていったのです。口コミにも「前より慌ただしい感じがした」という声が混ざるようになりました。

店長は、こう振り返っていました。
「安くしたことで、お客さんとの距離まで遠くなってしまった気がする。」
この言葉が、このお店で起きていたことをいちばんよく表していると思います。

POINT

値下げは来店数を一時的に増やせても、利益率や現場の余裕、リピーター、接客の質にまで影響が広がることがあります。
価格はいつでも下げられるからこそ、最後に検討する選択肢にしておくのがおすすめです。

価格に手をつける前に、今日からできる見直し

集客に困ったときこそ、一度立ち止まって「本当に価格が原因で選ばれていないのか」を考えてみてください。
ここを見極めるだけでも、次に打つ手は大きく変わってきます。

  • 商品の見せ方や伝え方など、価格以外に選ばれていない理由がないかを見直す
  • 口コミ内容に気になる声がないかを確認する
  • 接客の中で、お店の魅力や商品のよさを伝えきれているかを振り返る

メニュー表ひとつ、口コミへの返信ひとつでも、お客様からの選ばれ方は変わってきます。
そして、一度下げた価格を元に戻すのは、下げるときよりずっと難しいものです。
値上げをした途端、安さで来ていたお客様が離れていく光景も、支援先で何度も見てきました。

価格の前に見直せること、一緒に整理しませんか

価格以外のどこに手を入れればいいのかは、毎日お店に立っているとかえって見えにくいものです。
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「何から手をつければいいかわからない」という段階でもかまいません。値下げを考える前に、今のお店の状況を一緒に棚卸ししてみませんか。

本橋 真由美

この記事を書いた人

本橋 真由美株式会社DEGORA 代表取締役

振袖・ブライダルなど高単価商材の集客支援を中心に、経営者の右腕として現場に入って伴走。脳科学と心理学を根拠にした集客を実践している。

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